時計ジャーナリストの広田雅将、柴田充、篠田哲生、 オーデマ ピゲのファッション企画を担当するスタイリストの白井艶美、武内雅英、菊池陽之介が2021年新作モデルを総括。業界のプロが選んだ2021年のAPベストウォッチとは。

Photos:Koutarou Washizaki - Words :Masashi Takamura

番外編として2021年にリリースされた複雑機構モデル3本を時計ジャーナリストが解説。オーデマ ピゲの真骨頂ともいうべきコンプリモデルの魅力に迫る。

HIROTA’S COMMENT

広田雅将/時計ジャーナリスト

「輪列のコンパクトなトゥールビヨンは、そもそもオープンワーク向き。これは、ムーブメントを極限まで肉抜きした試みです。オーデマ ピゲらしいのは、面取りのいたるところに設けられた“出角”。切り込むようなエッジは、手作業でしか施せないものです。モダンな造型を古典的な手法で仕上げる。ブランドのあり方を象徴するモデルのひとつ」

SHIBATA’S COMMENT

柴田充/時計ジャーナリスト

「まるで現代のウォッチメイキングのショーケースのようなフルコレクションの中にあって、とりわけ先鋭的。トゥールビヨンとスケルトンダイヤルという古典的な機構をコンテンポラリーに昇華するとともに、独創的なケースデザインがさらに際立ちました。結果、未来感に溢れた佇まいに」

SHINODA’S COMMENT

篠田哲生/時計ジャーナリスト

「美観や表現力に優れるトゥールビヨンと、専用設計で美しく演出されたオープンワークの技法が融合した、好みのスタイル。すべてが曲線で構成された本作のキャリバーには、息をのむほどの美しさがある。しかもミドルケースはピンクゴールド製というコンビ使い。オーデマ ピゲの創造性をとことん楽しめる時計です」

HIROTA’S COMMENT

広田雅将/時計ジャーナリスト

「ロイヤル オーク“ジャンボ”にラッカー文字盤を組み合わせたユニークなモデル。オーデマ ピゲは長年ラッカー仕上げの文字盤から距離を置いてきたが、“CODE 11.59”で大々的に採用。そしてこの定番へ。ギヨシェの溝がラッカーで埋まらないよう、あえてのフラットな仕上げだが、グラデーションを施すことで間延びさせない。そのまとまりは非凡です」

SHIBATA’S COMMENT

柴田充/時計ジャーナリスト

「来年の誕生50周年に向け、生産を終える初代“ジャンボ”。その極薄を支え、“ロイヤル オーク”以外にもコンプリケーションのベースとして活躍した名作キャリバー2121もこれが見納め。プラチナのケース&ブレスも、その有終の美を飾るにふさわしいといえます」

SHINODA’S COMMENT

篠田哲生/時計ジャーナリスト

「個人的には、39㎜径こそ正解だと思っている“ロイヤル オーク”。現行では“エクストラシン”のみが該当します。しかも、1972年モデルを彷彿とさせる2針の本作はまさにツボ。なんとも艶めかしいグリーンのグラデーションダイヤルに、プラチナのケース&ブレスレットというユニークな組み合わせの特別感は、ファンにとってもたまらないはず」

HIROTA’S COMMENT

広田雅将/時計ジャーナリスト

「おそらく、オーデマ ピゲのクロノグラフで最も複雑な設計のひとつ。スペースがないにもかかわらず、文字盤の2時位置には、なんと12時間積算計が。しかも、クラッチを持たない簡易型ではなく、往年の高級機よろしく、12時間積算計専用のクラッチを搭載。造型や仕上げ、ムーブメントの巧みな取り回しからは、熟練した手腕が感じられます」

SHIBATA’S COMMENT

柴田充/時計ジャーナリスト

「“オフショア”初のフライングトゥールビヨンのフライバック。“CODE 11.59”に搭載したキャリバーを刷新し、よりスポーティに。これを43㎜径のチタンケースに抑え、力強さを損なうことなく、フィット感と軽快感を両立。次世代の“ラグスポ”だと思わせます」

SHINODA’S COMMENT

篠田哲生/時計ジャーナリスト

「“オフショア”のマッシブな存在感とオーデマ ピゲらしい高度なメカニズムが巧みに融合。43㎜径のチタンケースで日常使いも可能なスペックにまとめている点もお見事。フライングトゥールビヨンが動作する美しい姿を愛でられるのは、愛好家にはうれしいでしょう」

Audemars Piguet Boutique Ginza

ブティック

6-5-13 Ginza, 104-0061 Chuo-ku

boutique.ginza@audemarspiguet.com

03-6830-0788