日本の伝統文化とストリートカルチャーとをかけあわせる小島鉄平は、時に閉鎖的と言われることもあった盆栽界の門戸を開放し、若い世代や海外の人たちからも支持される気鋭のプロデューサーだ。「盆栽は究極のヴィンテージ」と語る彼は、常に過去への敬意を忘れず、同時に現代的なアプローチで未来を見据えている。

動画ディレクション:TISCH(MARE Inc.) - インタビュー&文:倉持佑次

音楽やファッション、スケボー、タトゥーなどアメリカのストリートカルチャーに夢中になった幼少期、服好きの父から贈られた一本のジーンズが小島の原点となった。興味をもったことはとことん調べるタイプの彼は、そのジーンズが永きにわたり紡がれてきた物語をもつ名作であることを知り、ヴィンテージという概念に強く心を打たれた。盆栽を世界に伝える集団「TRADMAN'S BONSAI(松葉屋)」の代表として、空間プロデュースや異業種とのコラボレーションなどを積極的に行うようになったいまも、その時と同じ感動や魅力を盆栽に感じているという。

「うちで扱う盆栽は、毎日の水やりや剪定に加えて、針金などを使って少しずつ理想の形に仕上げていきます。しかし、人より長い寿命をもつ盆栽が完成することはありません。前のオーナーの意匠を汲み取り、答え合わせをしながら自分らしさを加え、さらに次の世代に託していく。そんな風に過去から未来へ時を重ねる盆栽は、究極のヴィンテージだと思います。オーナーによってひとつの盆栽の形も姿もすべてが変わっていくので、時代の生き方を常に意識しながらやっています」

本格的に盆栽を扱うようになった10年ほど前から、小島のネットワークを通じてアパレルのセレクトショップやアーティストのミュージックビデオなどに盆栽を取り入れるシーンも増えてきた。いまや盆栽は一部の人たちの趣味ではなく、ファッションやアートとして多くの人たちを魅了している。盆栽そのものの美学や伝統を理解しつつ、同時にそれをカルチャーとして幅広い人たちに魅力を伝える小島は、次に何を仕掛けるのか。過去と現在と未来を包括する盆栽の可能性は無限大だ。

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